漢方は中国を起源としていますが、日本で1400年以上かけて発展した、日本独自の伝統医学です。漢方薬は、生姜や山椒、ミカンの皮、シナモンなど、私たちにとって身近な薬効のある植物や鉱物を組み合わせた薬で、その組み合わせによって多様な効能が得られるという奥深さがあります。
漢方薬は単に症状に対して投与するのではなく、体質や体のバランスを重視し、一人ひとりの「証(しょう)」に合わせて処方されます。そのため、複数の症状に対しても1つの薬で対応できることが多く、病気になる前の「未病」や、なんとなく不調という状態に対しても効果が期待できます。
漢方治療は症状の緩和を第一の目的としますが、心身のバランスの乱れが病気に発展していくという「未病」の考え方があり、この未病の段階で生活習慣の改善や漢方治療を行い、病気を回避していくという予防医学の側面もあります。
漢方は内科、皮膚科、小児科、婦人科など、診療科目は関係なく全ての身体症状を対象としています。症状があっても西洋医学的に原因がはっきりしない、西洋医学的な治療で症状が改善しないなど、お悩みがある方はぜひ一度ご相談ください。
ときに、西洋医学だけでは改善が難しい症状が、漢方の導入で良くなることがあります。
例えば風邪の治療ひとつ取っても、西洋医学では咳には鎮咳薬、喉の痛みには解熱鎮痛薬など、今ある症状への「対症療法」が中心ですが、漢方では「証」を見極めて根本から改善を図ります。麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯、小青竜湯など、それぞれの状態に応じた処方で体調の改善を目指します。
