2026年1月26日
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)のお話

こんにちは、小林内科医院です。今回は久しぶりに漢方のお話をします。
本当に毎日寒いですね。新百合ヶ丘は坂が多く遮るものがないからなのか、風がとても強いです。
僕は天気図を見るのが大好きなので、西高東低という響きが好きです。西高東低とは冬型の気圧配置で、天気予報のニュースでもよく聞く単語かと思います。西高東低だと関東は晴れ、日本海側は雪、冬の典型的な天気になるわけです。等圧線が狭くなり、北風が引き荒れ、寒くなる。いよいよ厳しい冬本番になってきました。
寒くなってくると、
「体が冷える」という訴えと同時に、
関節が痛む
肩や腰がこわばる
冷えると体が動かしにくい
といったご相談が増えてきます。
特にこの時期は、
「夏は何ともなかったのに、冬になると痛みが出る」
「温めると楽になる」
そんな声をよく耳にします。
今回は、
冷えをきっかけに、関節や体の痛みが出てくる方に使われる代表的な漢方薬、
桂枝加朮附湯についてお話しします。
冷えと「痛み」の関係
痛みというと、
年齢や使い過ぎ、加齢変化を思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろんそれも一因ですが、
漢方では冷えそのものが痛みを引き起こす原因になると考えます。
冷えることで、
血流が悪くなる
筋肉や関節がこわばる
体の巡りが滞る
すると、
痛みや重だるさとして感じられるようになります。
特に、
冷たい風に当たる
雨の日や寒い日に悪化する
温めると楽になる
こうした特徴がある場合、
「冷え」が痛みの背景にある可能性が高いと考えます。
桂枝加朮附湯が使われる「冷え」
桂枝加朮附湯は、
冷えを伴う痛みに使われる漢方薬です。
真武湯が「体力が落ち、全身が冷えているタイプ」だとすると、
桂枝加朮附湯は、
冷えはある
しかし、ある程度の体力は保たれている
冷えると痛みが前に出る
という方に向いています。
こんな症状はありませんか?
桂枝加朮附湯が考えられるのは、
次のような方です。
冷えると関節や筋肉が痛む
肩こりや腰痛が、寒い時期に悪化する
朝や冷えた時間帯に体がこわばる
温めると症状が軽くなる
雨の日や湿気で調子が悪い
「動けば少し楽になる」という方も、
この漢方が合うことがあります。
キーワードは「冷え」と「湿(しつ)」
桂枝加朮附湯の重要なテーマは、
**冷えと湿気(体にたまった余分な水分)**です。
体が冷えると、
水分が停滞しやすくなる
関節や筋肉の周囲に余分な水がたまる
動きが悪くなり、痛みとして感じる
といった状態が起こります。
桂枝加朮附湯は、
この冷え+湿の痛みによく使われる処方です。
桂枝加朮附湯の構成生薬と働き
桂枝加朮附湯は、
体を温めながら、余分な水分をさばき、
痛みを和らげる生薬で構成されています。
主な生薬の役割を簡単にご紹介します。
桂枝
血行を良くし、体表を温め、冷えによるこわばりを改善します。
芍薬
筋肉の緊張を和らげ、痛みを抑えます。
朮
体にたまった余分な水分をさばき、関節の重だるさを改善します。
生姜
体の内側から温め、冷えを改善します。
附子
冷えをしっかり取り除き、痛みの原因にアプローチします。
これらが組み合わさることで、
冷え・湿・痛みを同時に整えていきます。
「温めると楽になる痛み」に注目
桂枝加朮附湯が合う方の大きな特徴は、
温めると楽になる痛みです。
入浴すると楽
カイロを当てると痛みが和らぐ
夏より冬の方がつらい
こうしたサインは、
「冷えが痛みの主役になっている」
ことを示しています。
高齢の方にも使われる理由
桂枝加朮附湯は、
比較的高齢の方にも使われることの多い漢方薬です。
年齢とともに、
体を温める力が弱くなる
水分代謝が落ちる
関節の動きが悪くなる
といった変化が起こりやすくなります。
桂枝加朮附湯は、
こうした変化に対して、
体に無理をかけず、じんわり整える処方です。
真武湯との違い
ここで、前回の真武湯と簡単に整理しておきます。
真武湯
→ 全身が冷え、体力が落ち、むくみやめまいを伴うタイプ 全身が冷えるタイプ
桂枝加朮附湯
→ 冷えると関節や体が痛むタイプ
同じ「冷え」でも、
前に出ている症状が違うことで、
選ぶ漢方が変わります。
痛みは「年齢のせい」だけではありません
関節や体の痛みは、
「年齢のせい」「仕方ない」と
我慢されている方が少なくありません。
しかし、漢方の視点で見ると、
冷えや体の巡りの悪さが関係している痛みも多くあります。
体を整えることで、
「冬でも動きやすくなった」
「朝のこわばりが楽になった」
と感じる方もいらっしゃいます。
冷えや痛みでお困りの方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
体質に合わせた治療を、一緒に考えていきましょう。
なんとか寒い冬をともに乗り越えていきましょう、小林内科医院でした。