咽頭痛の風邪が増えています|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

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咽頭痛の風邪が増えています

咽頭痛の風邪が増えています|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

2025年12月04日

—小柴胡湯加桔梗石膏という選択肢—

こんにちは、小林内科医院の小林です。
今年の風邪は、発熱よりも前に「強い咽頭痛」が出る患者さんが非常に多いのです。
のどの奥がヒリヒリして飲み込みづらい、つばを飲むのもつらい、声が出しにくい…。そんな症状で来院される方が目立ちます。当然その後発熱しインフルエンザと診断され、抗インフルエンザ薬を投与することも多いのですが、咽頭痛が非常に強い場合は咽頭痛に特化した漢方があります。


こうした咽頭痛主体の風邪に、漢方ではよく 「小柴胡湯加桔梗石膏」 を使います。
メジャーではありませんが、実は内科医にとって非常に頼もしい処方です。

◆ 小柴胡湯加桔梗石膏とは?
ベースは「小柴胡湯」。
ここに 桔梗(ききょう)石膏(せっこう) が加わった構成です。
「柴胡+石膏」という組み合わせは、のどの熱感や炎症に非常に相性が良いのが特徴です。
● 含まれる生薬
柴胡(さいこ):熱をほどよく発散し、風邪がこじれた時の“胸苦しさ”を取る
半夏(はんげ):胃腸を整え、吐き気や胸のつかえを取る
黄芩(おうごん):強い抗炎症作用(特に上気道)
人参(にんじん):体力の底上げ
大棗(たいそう):気力・体力を支える
甘草(かんぞう):咳・痛みをやわらげる
生姜(しょうきょう):胃腸を温める
桔梗(ききょう):のどの腫れ・痛み、“声が出しにくい”症状に
石膏(せっこう):のどの熱感、ひりつきを冷ます
この「石膏」が入ることで、
炎症で“熱を持った咽頭痛”にキレ味が出る
これがこの方剤の最大の強みです。

◆ 判断のカギは「口渇」
小柴胡湯加桔梗石膏を使うときに、最も大事なのが “のどの渇き(口渇)” です。
今年の風邪は、のどが赤く腫れ、熱っぽさを感じても 「意外とのどが乾く」 方が多い印象です。
これは、ウイルスによる咽頭粘膜の炎症で水分が奪われ、
“上半身に熱がこもるタイプ” の風邪が増えているからかもしれません。
● こんな症状なら相性が良い
のどの奥が熱い、ヒリヒリする
つばを飲み込むと痛い
のどが乾いて水を飲みたくなる
声がかすれる
発熱はあっても微熱〜中等度
関節痛より「のど」が主訴
食欲が少し落ちているが、完全にはダウンしていない
逆に、のどは痛いのに乾かない、寒気が強くて熱が出ていない…という場合には別の処方を使います。

◆ 小柴胡湯加桔梗石膏が“合う人・合わない人”
漢方は「症状」だけでなく「体質」「反応」で判断します。
■ 合う人
少し体力がある
のどが乾き、熱っぽさがある
胃腸はそこまで弱っていない
咳よりも咽頭痛が主役
風邪をこじらせやすいタイプ
■ 合わない人
体が冷えて寒気が強い
のどは痛いが乾かない
汗が全く出ず、身体が冷えている
強い体力低下がある
こういった場合は、麻黄附子細辛湯などの処方へ変更することがあります。

◆ 今年の風邪の特徴と相性の理由
今年の風邪は
「発熱より先に咽頭痛」 が出る人が非常に多い。
しかものどが真っ赤、乾燥感が強い。
このパターンだと小柴胡湯加桔梗石膏がハマりやすい傾向があります。
また、咽頭部の炎症が強いと、
食欲不振や軽い悪心、胸のつかえを伴うことがあります。
ベースに小柴胡湯が入っていることで、
上半身の熱+胃腸の乱れを同時に整える のがポイントです。
西洋薬でいうと、鎮痛薬+抗炎症+胃薬を1つにまとめたような存在です。

◆ 実際の臨床で感じるメリット
僕が診療していて感じるのは、
「のどの痛みがスッと引くスピード感」 です。
石膏の冷ます力と、桔梗の“のどの通りを良くする”力が合わさることで、
ヒリヒリした痛みが和らぎやすい。
さらに小柴胡湯の得意分野である
**“風邪をこじらせにくくする”**効果も期待できます。
特に、仕事や育児を休めない方には、
体力を落とさずに咽頭痛を和らげられるのが大きな利点です。

◆ 最後に:咽頭痛の風邪は我慢しないで
今年の風邪は、とにかく「のど」から来ます。
“気づいたら飲み込みがつらい” というケースも多いので、
症状が少しでも強いときは早めに受診してください。
小柴胡湯加桔梗石膏は、
「口渇があり、のどが熱っぽく痛むタイプ」 にはとても頼もしい漢方です。
症状と体質が合えば、強い味方になってくれます。
当院では、西洋薬と漢方のどちらも使いながら、
患者さん一人ひとりに合った治療を一緒に考えていきます。
のどの痛みが続くとき、仕事や家事がつらいときは、
いつでも気軽にご相談ください。

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