2025年11月14日
寒さで始まるゾクゾク風邪に ― 麻黄附子細辛湯について
朝晩の冷え込みが一段と強まり、一気に冬らしい空気になってきましたね。
外来でも「ゾクゾクする」「寒くて体が縮こまる」といった、冷えが主体の風邪が増えてきています。
そんな季節こそ、体を温めながらゆっくり過ごすことが大切です。
「風邪かな?」と思ったら、我慢せず早めにご相談くださいね。
今回は麻黄附子細辛湯という響きがカッコよく僕が大好きな漢方の紹介です。
◆ 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)とは?
麻黄、附子、細辛の 3つの生薬だけで作られたシンプルな処方 で、
古くから 寒さが原因の風邪(寒邪による感冒)に使われてきました。
特徴は、
『体の芯から冷えて動けない』『ゾクゾクする』
といった、寒さが主体の症状に強いこと。
◆ こんな症状に向いています
● 寒さが強い風邪
・ゾクッとした悪寒が続く
・布団に入っても温まらない
・熱よりも寒気がつらい
→ 寒冷性の風邪にピタッと合う処方なんです
● 鼻水が多い/薄くサラサラした鼻汁
細辛(さいしん)には 鼻・気道まわりを温める働き があり、
“サラサラした透明な鼻水”の多いタイプの風邪に相性が良いと言われています。
※粘りのある鼻水・黄色い鼻汁などは別の処方が合うことがあります。
◆ 生薬のやさしい働き
◎ 麻黄(まおう)
体を温めて、冷えで停滞した気の巡りを整える。
◎ 附子(ぶし)
体の深部(いわゆる芯)から温めて、震えるような寒気を和らげる。
◎ 細辛(さいしん)
鼻・喉まわりを温め、サラサラ鼻水・くしゃみ・ゾクゾク感を改善。
◆ 温かく飲むとより効果的です
麻黄附子細辛湯は「冷え」に対して使う薬のため、
お湯で溶いて温かい状態で飲むと、より作用が高まりやすいとされています。
● お湯に溶かして“服用直前に温める”
● 白湯と一緒に飲んで体を内側から温める
● 服用後は体を冷やさない(マフラー、カイロなど)
体を温めることとセットで使うと、より早く良くなることが多いです。
◆ 麻黄湯との使い分け
● 麻黄湯
・若い方
・熱が高い
・関節痛が強い
● 麻黄附子細辛湯
・高齢者
・体力が落ちている
・寒気が強い/鼻水が多い
→ 冷えが原因の典型的な風邪
麻黄湯はインフルエンザのような高熱で汗が出ていない体力のあるかたが飲む漢方である一方、
麻黄附子細辛湯は インフルエンザの治療薬ではなく、あくまで “寒さが引き金の風邪” に対して用いるお薬です。
◆ 飲むタイミングと注意点
● 寒気を感じたら早めに服用
● 食前・食間に服用
● 心疾患・高血圧・甲状腺疾患がある方は医師に相談
● 附子が入るため、過量服用は厳禁
◆ 小林内科医院からのメッセージ
寒さで体がこわばる時期は、ちょっとした風邪でも体調を崩しやすくなります。
「寒くてゾクゾクする」「鼻水が止まらない」
そんな時は、どうか無理をせずお気軽にご相談ください。
みなさまが安心して冬を過ごせるよう、あたたかくサポートさせていただきます。