「年のせい」で終わらせない体の不調|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

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「年のせい」で終わらせない体の不調

「年のせい」で終わらせない体の不調|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

2026年5月07日

〜腎虚と八味地黄丸・牛車腎気丸という考え方〜

こんにちは、小林内科医院です。

外来でよく聞く言葉があります。
「もう年だから仕方ないですよね」

夜中に何度もトイレに起きる。
足が重だるい。
冷えやしびれが気になる。
疲れがなかなか抜けない。

ひとつひとつは大きな病気ではないかもしれませんが、重なることで日常生活の質を大きく下げてしまいます。

そしてこうした症状は、それぞれ別の問題として扱われることが多く、結果として薬の数が増えてしまうことも少なくありません。

そんなときに、一度立ち止まって考えてみたいのが「腎虚(じんきょ)」という状態です。

腎とは「体の貯金」

漢方でいう「腎」は、腎臓そのものではありません。

生まれたときから持っている体のエネルギーを蓄えている場所。
いわば「体の貯金」です。

この貯金には、

・体を動かす力
・体を温める力
・体を潤す力
・回復する力

といった、生命を支える基本的な働きが含まれています。

このエネルギーは日々少しずつ使われ、年齢とともに減っていきます。

腎虚とは何か

この体の貯金が減ってきて、バランスが崩れた状態が腎虚です。

急激に変化するのではなく、ゆっくりと進むのが特徴です。

そのため、

「なんとなく調子が悪い」
「どこが悪いとは言いにくい」

といった状態になりやすく、見過ごされがちです。

腎虚でみられる症状

腎虚になると、体のいろいろな部分に影響が出てきます。

・疲れやすい
・足腰がだるい、力が入りにくい
・夜間頻尿、頻尿
・足のむくみ
・冷え
・しびれ
・耳鳴り、聞こえにくさ
・目のかすみ

特徴的なのは、これらが単独ではなく、いくつも重なって現れることです。

少腹不仁という大切なサイン

腎虚を考えるときに、診察でとても大切にしているポイントがあります。

それが「少腹不仁(しょうふくふじん)」です。

少腹とは、おへその下あたりの下腹部のことです。
この部分を触れたときに、

・張りがなく、やわらかい
・力が抜けているように感じる
・押しても反応が乏しい

といった状態を指します。

これは、体の深い部分のエネルギーが弱っているサインと考えられています。

腎は体の土台を支える役割を持つため、その力が落ちると、体の中心部の張りが失われてきます。
特に下腹部はその影響が現れやすい場所です。

実際の診察では、この部分の感触を確認することで、体の土台の状態を把握する一つの手がかりとしています。

なぜ薬が増えてしまうのか

症状を個別にみると、

頻尿にはこの薬
むくみにはこの薬
しびれにはこの薬

という形になり、薬が増えていきます。

もちろんそれぞれの治療には意味がありますが、体の土台が弱っている状態では、十分に整いきらないことがあります。

そのため、「薬は飲んでいるけれど、どこかすっきりしない」という状態になることもあります。

土台から整えるという発想

そこで考えるのが、体の土台そのものを整えるという方法です。

弱ってきた腎を補うことで、体全体のバランスを立て直していく。
その結果として、複数の症状が少しずつ軽くなっていく。

この考え方が「補腎」です。

八味地黄丸という薬

八味地黄丸は、腎虚に対する基本となる薬です。

体の潤いとエネルギーを補いながら、冷えを整え、全体のバランスを立て直していきます。

・冷えがある
・トイレが近い
・疲れやすい
・足腰に力が入りにくい

といった状態に、ゆっくりと働きかけていきます。

牛車腎気丸という薬

牛車腎気丸は、八味地黄丸をもとに、水分の巡りや血流を整える力を強めた薬です。

・足のむくみ
・しびれ
・足の重だるさ

といった症状がある場合に選ばれます。

抗がん剤によるしびれと牛車腎気丸

これまで腫瘍内科で診療を行う中で、抗がん剤によるしびれを多く経験してきました。

抗がん剤治療では、手足のしびれが長く残ることがあります。
このしびれは、一般的な神経の薬でも十分に改善しないことがあります。

そのような場面で、牛車腎気丸を使うことがありました。

すべての方に効果があるわけではありませんが、

・しびれの違和感が軽くなる
・冷たい感じがやわらぐ
・日常生活の負担が少し軽くなる

といった変化を感じる方がいらっしゃいました。

体全体の状態を整えることで、しびれの感じ方に変化が出る。
そういう薬です。

八味地黄丸の生薬構成

八味地黄丸は8つの生薬から成り立っています。
それぞれが役割を持ち、全体としてバランスの取れた処方になっています。

地黄は、体に潤いと栄養を与える中心の生薬です。
不足したエネルギーを補い、体の土台を支えます。

山薬は、胃腸の働きを助け、栄養をしっかり取り込む力を高めます。
体力の維持に関わります。

山茱萸は、体のエネルギーが外に漏れないように保つ働きがあります。
頻尿などの症状に関係します。

沢瀉は、余分な水分を体の外に出し、水分バランスを整えます。

茯苓は、水分代謝を整えながら、体を安定させます。
むくみや不安感にも関わります。

牡丹皮は、体にこもった熱をやわらかく調整し、血の巡りを整えます。

桂皮は、体を温め、血流を良くします。

附子は、体の芯から温める働きを持ち、冷えを改善します。

これらが組み合わさることで、体を補いながら、巡らせ、整えるという働きが生まれます。

牛車腎気丸の追加生薬

牛車腎気丸には、さらに2つの生薬が加わります。

牛膝は血の巡りを改善し、作用を下半身へ導きます。
足の症状に重要な役割を持ちます。

車前子は水分代謝を整え、むくみを改善します。
尿の出を促す働きもあります。

最後に

年齢とともに体が変化していくことは自然なことです。

ただ、その変化をすべて「仕方ない」としてしまう必要はありません。

体の土台に目を向けることで、
今ある不調が少し軽くなることがあります。

いくつもの症状が重なっているときほど、
全体を見直してみることが大切です。

気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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