梅雨の季節に増える「なんとなくつらい」気分と漢方のお話|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

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梅雨の季節に増える「なんとなくつらい」気分と漢方のお話

梅雨の季節に増える「なんとなくつらい」気分と漢方のお話|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

2026年6月09日

〜気分の落ち込み、不安、不眠に漢方はどう役立つのか〜

こんにちは、小林内科医院です。
6月に入り、梅雨の季節になりました。
雨の日が続くと、
「なんとなくやる気が出ない」
「朝から体が重い」
「気分が晴れない」
「夜ぐっすり眠れない」
「理由はないけれど不安になる」
そんな経験はありませんか?
実は梅雨は、心と体のバランスを崩しやすい季節です。
もちろん本格的なうつ病の場合には専門的な治療が必要ですが、病院の検査では異常がなくても、
「なんとなくつらい」
「気持ちが落ち込む」
「疲れが抜けない」
という状態は少なくありません。
漢方は、こうした“病気未満の不調”を得意としています。
今回は梅雨時期に増える心の不調と、それに対して使われる漢方についてお話しします。


梅雨になると気分が落ち込みやすい理由
梅雨になると、
気圧が低い
日照時間が短い
湿度が高い
寝苦しい
といった環境変化が起こります。
人間の体は意外と天気の影響を受けています。
特に自律神経は気圧や気温の変化に敏感です。
自律神経は、
元気モード
休息モード
の切り替えを行っています。
梅雨になるとこの切り替えがうまくいかなくなり、
だるい
眠い
やる気が出ない
気分が沈む
という状態になりやすくなります。
漢方ではこれを単なる精神的な問題とは考えません。
体のエネルギー不足や血流の低下、水分代謝の乱れなども関係していると考えます。


漢方で考える「うつうつした状態」
漢方では気分の落ち込みを一つの病気として見るのではなく、
人によって原因が違う
と考えます。
例えば、
疲れ切って元気がない人
不安が強い人
イライラが強い人
眠れない人
のどが詰まる感じがする人
では使う漢方が変わります。
これは現代医学でいうオーダーメイド医療に近い考え方です。


桂枝加竜骨牡蛎湯
不安が強く、悪夢を見る人に
まず代表的なのが
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
です。
昔から
「神経が高ぶりやすい人」
に使われてきた漢方です。
こんな方に向いています。
不安が強い
緊張しやすい
眠りが浅い
悪夢を見る
ちょっとしたことで驚く
動悸がする
というタイプです。
体力はそれほど低下していないことが多く、
神経の興奮が前面に出ている方に向いています。


生薬の働き
桂皮(けいひ)
シナモンの樹皮です。
体を温め、血流を良くします。
芍薬(しゃくやく)
筋肉の緊張を和らげます。
竜骨(りゅうこつ)
古代の大型動物の化石です。
精神を落ち着かせる働きがあります。
牡蛎(ぼれい)
牡蠣の殻です。
興奮を鎮め、不安を和らげます。


まさに
「心を落ち着かせる漢方」
といえる処方です。


半夏厚朴湯
のどが詰まる感じがある人に
気分が落ち込むと、
「のどに何か詰まった感じ」
が出ることがあります。
検査では異常がないのに、
飲み込みにくい
のどが苦しい
息苦しい
と感じる状態です。
昔から
「梅核気(ばいかくき)」
と呼ばれてきました。
梅の種がのどに引っかかったような感覚という意味です。
そんな時によく使われるのが
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
です。


生薬の働き
半夏(はんげ)
吐き気を抑えます。
厚朴(こうぼく)
胸のつかえを改善します。
蘇葉(そよう)
気分を楽にします。
茯苓(ぶくりょう)
余分な水分を取り除きます。
生姜(しょうきょう)
胃腸を温めます。


ストレスが体に現れているタイプに使われることが多い漢方です。


香蘇散
気分が重く、胸や背中が苦しい人に
神経が疲れてくると、
胸が苦しい
みぞおちが重い
背中が張る
という症状が出ることがあります。
そんな時に使われるのが
香蘇散(こうそさん)
です。
香蘇散は本来風邪薬ですが、
昔から
「こころの風邪」
にも使われてきました。


生薬の働き
香附子(こうぶし)
気分の巡りを良くします。
紫蘇葉(しそよう)
ストレスを和らげます。
陳皮(ちんぴ)
胃腸の働きを助けます。
甘草(かんぞう)
全体をまとめます。


神経が疲れて胸が詰まるような人に向いています。


加味帰脾湯
梅雨時期に特におすすめの漢方

加味帰脾湯(かみきひとう)
です。


こんな方に向いています。
元気が出ない
疲れやすい
不安が強い
寝付きが悪い
朝起きられない
食欲がない
眠りが浅い
夢が多い
まさに
「疲れて心まで弱っている」
タイプです。


帰脾湯との違い
加味帰脾湯は
帰脾湯
をベースに作られています。
帰脾湯は
気を補う
血を補う
心を安定させる
という働きを持っています。
そこに
柴胡
山梔子
が加わったものが加味帰脾湯です。


つまり
疲労回復に加えて
イライラやストレスにも対応できる
という特徴があります。


生薬を詳しく見てみましょう
人参(にんじん)
高麗人参です。
疲労回復の代表選手です。
胃腸を元気にし、体力を補います。


黄耆(おうぎ)
補中益気湯にも入る生薬です。
気力や体力を補います。


白朮(びゃくじゅつ)
胃腸を元気にし、水分代謝を整えます。


茯苓(ぶくりょう)
余分な水分を取り除きます。
梅雨のだるさにも役立ちます。


当帰(とうき)
血流を改善します。
女性だけでなく男性にも使われます。


竜眼肉(りゅうがんにく)
ライチに似た果実です。
心を落ち着かせる作用があります。


酸棗仁(さんそうにん)
不眠の代表的な生薬です。
眠りを深くする働きがあります。


遠志(おんじ)
精神を安定させます。
昔から物忘れや不眠に使われています。


柴胡(さいこ)
ストレスを和らげます。
胸や脇の張りを改善します。


山梔子(さんしし)
体にこもった熱を冷まします。
イライラやのぼせを改善します。


「心の栄養ドリンク」
加味帰脾湯を一言で表現するなら
心の栄養ドリンク
という言葉がぴったりかもしれません。
単に気分を上げるだけではなく、
胃腸を整える
体力を補う
血流を改善する
不安を和らげる
睡眠を改善する
という多方面から体を立て直します。


オキシトシンとの関係
近年の研究では、
加味帰脾湯が
「オキシトシン」
というホルモンに関係している可能性が報告されています。
オキシトシンは
安心感
信頼感
ストレス緩和
などに関係し、
「幸せホルモン」
とも呼ばれています。
もちろん漢方の効果を全て説明できるわけではありませんが、
近年はこうした研究も進んでいます。


更年期の女性にもよく使います
加味帰脾湯は
不安
不眠
イライラ
のぼせ
疲労感
を伴う更年期症状にも使われます。
特に
「疲れているのに眠れない」
という方には非常に良い適応があります。


男性にももちろん有効です
加味帰脾湯は女性の薬と思われがちですが、
実際には
仕事のストレス
介護疲れ
長引く病後
がん治療後
慢性的な疲労
などで男性にもよく使われます。
診察室でも
「最近やる気が出ない」
「何となく元気がない」
という方に処方すると、
徐々に表情が明るくなることがあります。


梅雨の時期に大切なこと
漢方も大切ですが、
生活習慣も重要です。
おすすめは
朝にカーテンを開ける
軽い散歩をする
湯船につかる
規則正しく食べる
夜更かしを避ける
ことです。
特に雨の日でも少し外を歩くと、自律神経が整いやすくなります。


まとめ
梅雨の季節は、
体だけでなく心も疲れやすい季節です。
検査では異常がなくても、
気分が晴れない
やる気が出ない
不安になる
眠れない
という症状で悩む方は少なくありません。
漢方では、
桂枝加竜骨牡蛎湯
半夏厚朴湯
香蘇散
加味帰脾湯
などを使い分けながら、その人に合った治療を行います。
特に加味帰脾湯は、
疲労感、不安、不眠、食欲低下を伴う「うつうつした状態」に非常に適した漢方です。
梅雨の空のように心がどんよりしている時こそ、無理をせず、自分の体の声に耳を傾けてみてください。
「気の持ちよう」では片付けられない不調に対して、漢方がお役に立てることがあります。
気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。
小林内科医院では、消化器内科・総合内科診療に加え、漢方診療も行っております。患者様お一人おひとりの体質や症状に合わせた処方をご提案しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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