夏の暑さに負けない体づくり 〜「漢方の点滴」とも呼ばれる白虎加人参湯 〜|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

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夏の暑さに負けない体づくり 〜「漢方の点滴」とも呼ばれる白虎加人参湯 〜

夏の暑さに負けない体づくり 〜「漢方の点滴」とも呼ばれる白虎加人参湯 〜|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

2026年7月06日

こんにちは、小林内科医院です。

7月に入り、いよいよ本格的な夏がやってきました。

毎年この時期になると、「暑くて食欲がない」「水を飲んでも喉が渇く」「何となくだるい」「疲れが取れない」といった症状で来院される患者さんが増えてきます。

近年は猛暑日が続くことも珍しくなく、熱中症への注意が呼びかけられています。しかし、熱中症とまではいかなくても、暑さによって体が少しずつ疲弊し、体調を崩してしまう方は少なくありません。

漢方では、このような夏の不調を昔から「暑邪(しょじゃ)」、つまり暑さによる体への負担として考え、多くの処方が受け継がれてきました。

その中でも代表的なのが白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)と清暑益気湯(せいしょえっきとう)です。

どちらも夏によく使われる漢方ですが、実は得意とする症状は大きく異なります。

今回は、この二つの漢方について、わかりやすくご紹介したいと思います。

夏は体の水分も元気も失われる季節

私たちの体は、体温を一定に保つために汗をかきます。

汗をかくこと自体は大切な働きですが、大量に汗をかくと水分だけでなく、体のエネルギーも少しずつ失われていきます。

さらに暑さで胃腸の働きが低下し、冷たい飲み物やアイスクリームばかり食べるようになると、ますます食欲が落ち、体力が回復しにくくなります。

夜も寝苦しく、十分な睡眠が取れなければ疲れはさらに蓄積します。

つまり夏は、

「脱水」と「疲労」が同時に起こりやすい季節

なのです。

この二つを見極めることが、漢方を選ぶ上でもとても重要になります。

「漢方の点滴」と呼ばれる白虎加人参湯

白虎加人参湯は、およそ2000年前にまとめられた漢方医学の古典『傷寒論』にも記載されている歴史ある処方です。

最近では「漢方の点滴」と呼ばれることもあります。

もちろん、本当の点滴ではありません。

しかし、それほど夏の暑さで水分を失い、ぐったりした体を助けてくれることから、そのように表現されることがあります。

白虎加人参湯が活躍するのは、

暑さによって体に熱がこもり、水分が不足している状態です。

例えば、

・水を飲んでもすぐ喉が渇く

・冷たい飲み物ばかり欲しくなる

・汗が止まらない

・体が熱っぽい

・顔が赤い

・手足がほてる

このような症状がある方には、白虎加人参湯がよく合います。

補液がなかった時代の「命を支える漢方」

昔は現在のような点滴はありませんでした。

感染症で高熱が続いたり、夏の暑さで脱水になった患者さんに対して、体の熱を冷ましながら潤いを補う白虎加人参湯は、とても重要な処方だったと考えられています。

現在でも熱中症の初期や、発熱に伴う脱水、夏場の強い口渇などで使われることがあります。

もちろん、重度の熱中症では点滴や救急治療が最優先ですが、軽い脱水や暑さによる体調不良では漢方が役立つことも少なくありません。

白虎加人参湯を構成する生薬

石膏(せっこう)

白虎加人参湯の主役となる生薬です。

石膏は鉱物由来の生薬で、体にこもった熱を強力に冷ましてくれます。

高熱や顔のほてり、強い喉の渇きに昔から使われています。

「暑くてたまらない」

そんな状態には欠かせない存在です。

知母(ちも)

知母も熱を冷ます生薬です。

石膏だけではなく知母を組み合わせることで、熱を取りながら体の潤いも守る働きがあります。

汗をかいて乾いた体にはぴったりの組み合わせです。

人参(にんじん)

野菜の人参ではなく、オタネニンジンという植物です。

疲れた体に元気を与え、胃腸の働きを助けます。

汗を大量にかいた後は、水分だけではなく体力も失われています。

人参は、その失われた元気を補ってくれます。

粳米(こうべい)

実はお米も生薬です。

胃腸を守り、消化吸収を助けます。

暑い時期は胃腸も疲れていますので、とても大切な役割を担っています。

甘草(かんぞう)

多くの漢方薬に使われる代表的な生薬です。

炎症を和らげ、他の生薬をまとめる調和役として働きます。

漢方では「舌」も大切な診断材料

漢方では舌の状態も参考にします。

白虎加人参湯が必要な方では、

舌が乾いている

舌の色が赤い

という特徴がみられることがあります。

また、手足のほてりも体の潤いが不足しているサインと考えられています。

もちろん舌だけで判断するわけではありませんが、患者さんの体の状態を知る大切な手がかりになります。

もう一つの夏の漢方「清暑益気湯」

一方、夏バテでよく使われるもう一つの代表的な漢方が清暑益気湯です。

こちらは白虎加人参湯とは考え方が少し異なります。

名前の「清暑」は暑さを取り除くこと、「益気」は元気を補うことを意味します。

つまり、

暑さで弱ってしまった体を立て直す漢方

なのです。

例えば、

・食欲がない

・少し動くだけで疲れる

・朝からだるい

・毎年夏になると寝込んでしまう

このような方には清暑益気湯が合うことがあります。

清暑益気湯を支える生薬

清暑益気湯には多くの生薬が配合されています。

中心となるのは人参や黄耆で、体力を補い、疲労を回復させます。

白朮は胃腸の働きを助け、食欲を改善します。

麦門冬は乾いた喉や体を潤し、五味子は汗のかき過ぎを防いで体の水分が逃げすぎないように働きます。

さらに黄柏には熱を冷ます作用があり、夏の暑さにも対応します。

補中益気湯によく似た処方ですが、暑い季節に合わせて工夫された、まさに「夏仕様」の漢方といえるでしょう。

白虎加人参湯と清暑益気湯の違い

同じ夏の漢方ですが、使う場面は違います。

白虎加人参湯は、

「暑くて体が熱い」

「水を何杯飲んでも喉が渇く」

「汗を大量にかく」

そんな脱水と熱が目立つ方に向いています。

一方、清暑益気湯は、

「暑さで食欲がない」

「何もする気が起きない」

「疲れが抜けない」

そんな夏バテの方に向いています。

例えるなら、

白虎加人参湯は火照った体を冷やし、潤いを与える漢方

清暑益気湯は暑さで弱った体に元気を補給する漢方です。

どちらも夏に使いますが、役割は異なります。

当院では体質をみながら処方を選びます

「夏だから白虎加人参湯」

「夏バテだから清暑益気湯」

という単純なものではありません。

喉の渇きはあるのか。

汗はたくさんかいているのか。

食欲はあるのか。

暑がりなのか、冷えやすいのか。

胃腸は元気か。

こうしたことを丁寧にお聞きし、その方に合った漢方を選んでいきます。

同じ「夏バテ」でも、人によって原因は違うからです。

おわりに

夏は体力を奪われやすい季節です。

暑さで脱水が進み、体に熱がこもる方もいれば、胃腸が弱って食欲が落ち、疲れが抜けなくなる方もいます。

白虎加人参湯は、体にこもった熱を冷まし、失われた潤いを補うことを得意とし、「漢方の点滴」と呼ばれることもある処方です。

一方、清暑益気湯は、暑さで疲れた胃腸や体力を優しく支え、夏を元気に乗り切るための力になってくれます。

どちらも長い歴史の中で受け継がれてきた素晴らしい漢方ですが、大切なのは「症状に合った漢方を選ぶこと」です。

「毎年夏になると調子を崩す」「暑さで食欲が落ちてしまう」「喉の渇きが続く」「疲れがなかなか取れない」と感じている方は、一人で我慢せず、お気軽にご相談ください。

当院では、お一人おひとりの体質や症状に合わせて、最適な漢方治療をご提案しています。

今年の夏も、漢方を上手に取り入れながら、暑さに負けない元気な体で過ごしていきましょう。

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