イライラには種類があります|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

〒215-0021神奈川県川崎市麻生区上麻生1-9-10

044-951-0666

2025年10月1日より
継承による
リニューアルオープン

お電話・問い合わせはこちら
044-951-0666
アクセス
下層メインビジュアル画像(PC)

イライラには種類があります

イライラには種類があります|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

2026年4月16日



四逆散・抑肝散・加味逍遙散の使い分け


こんにちは、小林内科医院です。

「最近イライラしやすいんです」
「なんとなく余裕がなくて…」
「ストレスで体調も崩れていて」

外来で本当によく聞く言葉です。

ただ、ここで一つ大切なことがあります。

“イライラ”といっても、その中身は人によってまったく違うということです。


怒りとして外に出る人もいれば、
我慢して体にため込む人もいれば、
なんとなく不安や不調として続く人もいます。

漢方は、この違いをとても大切にします。

そしてその違いは、実はある程度シンプルに整理することができます。

イライラの正体は「気の乱れ」

漢方では、イライラの多くは

→ 「気(き)の流れの異常」

と考えます。

本来、体の中の気はスムーズに流れています。
しかしストレスがかかると、

流れが止まる
上にのぼる
発散できない

といった状態になります。


その結果として

イライラ
不安
頭痛
腹痛
不眠

などが現れます。


ここで大切なのは

「どのように乱れているか」

です。


イライラは3つに分けて考える


今回のポイントはここです。

イライラは大きく

① 内にため込むタイプ
② 外に出てしまうタイプ
③ 複雑に乱れるタイプ


に分けて考えると、とても理解しやすくなります。

① 内にため込むイライラ

―四逆散タイプ―

まず最初に押さえておきたいのがこのタイプです。

これはいわば

“イライラの基本形”

です。

■こんな方に多い

我慢しがち
周囲に気を遣う
ストレスを外に出せない


そして体には

ストレスで腹痛
下痢と便秘を繰り返す
お腹の張り・ガス

といった症状が出ます。

■体の中で起きていること

これは一言でいうと

「気が詰まっている状態」です。

本来流れるべき気が、

胸やお腹で止まる
下に降りない
渋滞する


その結果、

→痛みや不快感として現れます。


■四逆散の生薬とその意味

四逆散は非常にシンプルな処方です。

柴胡
芍薬
枳実
甘草

この4つだけで構成されています。

●柴胡(さいこ)
気の流れを動かす中心的な生薬です。
ストレスによって滞った気を外へ広げ、流れを作ります。

●芍薬(しゃくやく)
筋肉の緊張をゆるめ、痛みを和らげます。
また、内側に収める力を持ち、過剰な動きを抑えます。

●枳実(きじつ)
上にたまった気を下に降ろします。
腸の動きを改善し、ガスや張りを軽減します。

●甘草(かんぞう)
全体のバランスを整え、芍薬とともに痛みを和らげます。

■柴胡+芍薬の意味

柴胡は“外へ広げる力”
芍薬は“内へ収める力”

この2つが合わさることで

動と静のバランスが取れる

結果として、

→詰まっていた気がスムーズに流れ始めます。

■ひとことで

「我慢して固まった体をゆるめる薬」です。

② 外に出てしまうイライラ

―抑肝散タイプ―

■こんな方に多い

怒りっぽい
すぐカッとなる
イライラが強く出る
不眠がある

■体の状態

これは

→気が上にのぼりすぎている状態です。

つまり、

→ブレーキが効かない状態

■抑肝散の本質

抑肝散のポイントは

「平肝息風」

です。

平肝 → 高ぶった肝を抑える
息風 → 神経の興奮を鎮める

■生薬の意味

●釣藤鈎(ちょうとうこう)
神経の興奮を鎮める代表的な生薬です。
不安やイライラ、けいれん様の症状を抑えます。

●柴胡
高ぶった気の流れを整え、過剰なエネルギーを抑えます。


●当帰・川芎
血流を改善し、神経に栄養を与えます。
イライラの背景にある“血の不足”を補います。

●茯苓・朮
胃腸を整え、自律神経の安定に寄与します。

■四逆散との違い

四逆散は

「気の詰まりを流す」

一方で抑肝散は

「神経の高ぶりを鎮める」


四逆散=流す薬
抑肝散=鎮める薬

■臨床的なイメージ

四逆散 → 我慢している人
抑肝散 → 怒りが出てしまう人


■ひとことで

→「高ぶった神経にブレーキをかける薬」です。

③ 複雑に乱れるイライラ

―加味逍遙散タイプ―

最後は最もよく見かけるタイプです。

■こんな方に多い

なんとなくイライラが続く
不安や落ち込みがある
更年期症状
体のだるさや疲れ


■体の状態

これは単純なストレスではなく、

気の滞り
血の不足
軽い熱(のぼせ)

が重なっています。

■生薬の構成と意味

●柴胡・芍薬
気の流れを整える(四逆散の要素)

●当帰・芍薬
血を補い、体を支える

●茯苓・朮
胃腸を整え、体力を補う

●牡丹皮・山梔子
体の熱を冷まし、のぼせやイライラを抑える

●薄荷
気を発散し、軽く流す

■この処方の特徴

巡らせる+補う+冷ます

これを同時に行います。

■なぜ複雑になるのか

ストレスだけでなく

ホルモンバランス
体力低下
自律神経の乱れ

が重なるためです。

■ひとことで

→「ゆらぐ心と体を整える薬」です。


抑肝散と加味逍遙散の違い

■抑肝散

怒ると顔が青白い
手が震える
緊張が強い

収縮・緊張型

■加味逍遙散

顔が赤くなる
のぼせ・ほてり
不安・多愁訴

熱・発散型

実際の使い分け

腹痛・IBS → 四逆散
怒り・不眠 → 抑肝散
更年期・慢性不調 → 加味逍遙散


患者さんへ

イライラは「気のせい」ではありません。

体の中で起きている変化です。


詰まっているのか
高ぶっているのか
弱っているのか

それによって治療は変わります。

漢方は

その人に合わせて整える医療です。

「最近イライラしやすい」
「ストレスで体調が悪い」

そんなときは、無理に我慢せず
ぜひ一度ご相談ください。

体のサインを一緒に読み解き、
無理のない形で整えていきましょう。

TOP