夏の皮膚トラブルと漢方|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

〒215-0021神奈川県川崎市麻生区上麻生1-9-10

044-951-0666

2025年10月1日より
継承による
リニューアルオープン

お電話・問い合わせはこちら
044-951-0666
アクセス
下層メインビジュアル画像(PC)

夏の皮膚トラブルと漢方

夏の皮膚トラブルと漢方|新百合ヶ丘の内科・消化器内科・漢方内科|小林内科医院|土日診療

2026年7月31日

かゆみ、湿疹、ニキビ…夏の皮膚トラブル、漢方が少し助けてくれます

こんにちは、小林内科医院です。

梅雨が明け、本格的な夏がやってくると、「肌の調子が悪くなった」という患者さんが増えてきます。

汗をかくとかゆくなる、湿疹が広がる、アトピーが悪化する、ニキビが増える、毛嚢炎を繰り返す…。こうした皮膚トラブルは、夏に特に多くみられます。

「夏なのに乾燥するんです。」
「毎年この時期になると同じ場所がかゆくなるんです。」

そんな声も珍しくありません。

もちろん皮膚科で塗り薬を使うことはとても大切です。しかし、「塗っている間は良くなるけれど、やめるとまた悪くなる」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

そんな時に選択肢となるのが漢方です。

漢方は、湿疹という病名だけを見るのではなく、「なぜその人に湿疹ができたのか」「なぜ毎年この季節に悪くなるのか」という体質まで考えて治療を行います。

今回は、夏に多い皮膚トラブルと、それに対する漢方の考え方についてご紹介します。

夏はなぜ皮膚トラブルが増えるのでしょうか?

夏は皮膚にとって過酷な季節です。

まず大きな原因は「汗」です。

汗そのものは体温を下げる大切な働きをしています。しかし、汗が皮膚に長時間残ることで刺激となり、かゆみや湿疹を引き起こします。

さらに、高温多湿の環境では皮膚が蒸れやすくなり、細菌も増えやすくなります。

その結果、

・あせも
・湿疹
・毛嚢炎
・ニキビ

などが悪化しやすくなります。

一方で、夏だからといって皮膚が潤っているとは限りません。

エアコンの効いた部屋で長時間過ごすことで、皮膚は意外と乾燥しています。

つまり夏の皮膚は、

「汗で湿っているのに乾燥している」

という少し不思議な状態になることがあります。

これが夏の皮膚トラブルが複雑になる理由です。

漢方では「熱」と「湿」と「乾燥」を考えます

漢方では、夏の皮膚トラブルを考える時に、大きく3つのポイントがあります。

一つ目は「熱」。

皮膚が赤い、熱っぽい、かゆい、ニキビが赤く腫れる…。

このような状態では、体の中に余分な熱がこもっていると考えます。

二つ目は「湿」。

汗をかきやすい、ジクジクしている、水ぶくれができる、ベタつく湿疹などです。

湿気の多い日本の夏では、この「湿」の影響を受ける方が少なくありません。

そして三つ目が「乾燥」です。

夏でもエアコンや紫外線の影響で皮膚は乾燥します。

乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、少しの刺激でもかゆみが出やすくなります。

つまり同じ湿疹でも、

赤く熱を持っている人、

ジュクジュクしている人、

乾燥して粉を吹く人では、

選ぶ漢方がまったく違ってきます。

ここが漢方の面白いところです。

赤くてかゆい湿疹には「消風散」

夏の湿疹で最もよく使われる漢方の一つが消風散(しょうふうさん)です。

名前の「風」は、漢方では「かゆみ」を意味することがあります。

つまり、消風散は「かゆみを鎮める処方」と考えると分かりやすいでしょう。

特に、

・赤みが強い
・かゆみが強い
・ジュクジュクしている
・汗をかくとかゆくなる

このような湿疹によく用いられます。

夏場に悪化する湿疹やアトピー性皮膚炎でも使用されることが多い処方です。

消風散にはどんな生薬が入っているのでしょうか?

防風(ぼうふう)
かゆみを抑える代表的な生薬です。

荊芥(けいがい)
皮膚の炎症を落ち着かせます。

石膏(せっこう)
熱を冷まし、赤みを和らげます。

知母(ちも)
体の余分な熱を取り除きます。

蒼朮(そうじゅつ)
余分な水分を調整し、ジクジクした湿疹を改善します。

このように、消風散は「熱」と「湿」の両方に働きかけることで、夏の湿疹によく合う処方となっています。

乾燥してかゆい皮膚には「当帰飲子」

一方で、同じかゆみでも乾燥が目立つ方もいます。

・冬だけではなく夏も乾燥する
・カサカサして粉を吹く
・お風呂上がりにかゆくなる
・年齢とともに皮膚が乾燥してきた

このような方によく使われるのが当帰飲子(とうきいんし)です。

消風散が「炎症を抑える」のが得意なら、当帰飲子は「皮膚を潤す」ことが得意な漢方です。

乾燥した土地では植物が育たないように、皮膚も潤いが足りなくなると弱くなり、刺激に敏感になります。

当帰飲子は、その潤いを補いながら、かゆみを和らげる処方です。

当帰飲子の主な生薬

当帰(とうき)
血流を改善し、皮膚へ栄養を届けます。

地黄(じおう)
乾燥した皮膚に潤いを与えます。

芍薬(しゃくやく)
皮膚の状態を整え、体のバランスを保ちます。

何首烏(かしゅう)
皮膚や髪に栄養を与える生薬です。

乾燥肌や高齢の方の皮膚のかゆみなどでは、非常に頼りになる漢方です。

「赤いけれど乾燥もしている」そんな時は温清飲

外来では、

「赤い湿疹だけど乾燥もしている」

という患者さんが意外と多くいらっしゃいます。

そんな時によく使われるのが温清飲(うんせいいん)です。

温清飲は、皮膚を潤しながら炎症も抑えるという特徴があります。

湿疹やアトピー性皮膚炎が長引き、赤みと乾燥を繰り返している方にもよく使われます。

温清飲の主な生薬

当帰・地黄・芍薬・川芎
皮膚へ栄養を届け、乾燥を改善します。

黄連・黄芩・黄柏・山梔子
赤みや炎症を鎮め、熱を冷ましてくれます。

つまり温清飲は、

「潤す」と「冷ます」

この二つを同時に行う漢方なのです。

次にニキビを中心に、漢方がどのように使われるのかをご紹介します。


ニキビは体の中から整えることも大切です


ニキビは、皮脂が多いだけでできるものではありません。
毛穴の詰まりや炎症、ホルモンバランス、睡眠不足、ストレスなど、さまざまな要因が重なって起こります。
そのため、塗り薬だけでは十分な効果が得られず、何度も繰り返してしまう方も少なくありません。
漢方では、ニキビそのものだけを見るのではなく、皮膚の状態や体質を整えながら治療を行います。


当院でも、患者さん一人ひとりの症状に合わせて処方を選びますが、基本となることが多いのが桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)です。


桂枝茯苓丸加薏苡仁が基本になります


桂枝茯苓丸加薏苡仁は、血液の巡りを整えながら、皮膚の新陳代謝を改善する代表的な漢方です。


繰り返すニキビや大人ニキビ、ニキビ跡が気になる方、月経前に悪化しやすい方などによく用いられます。


主な生薬
桂枝(けいし)
体の巡りを良くします。

桃仁(とうにん)
血液の巡りを改善します。

牡丹皮(ぼたんぴ)
赤みや炎症を和らげます。

茯苓(ぶくりょう)
余分な水分のバランスを整えます。

芍薬(しゃくやく)
体全体のバランスを整えます。

薏苡仁(よくいにん)
ハトムギの種子です。皮膚の代謝を整え、ニキビやイボなど皮膚のトラブルによく用いられます。


この処方を基本としながら、その時々の皮膚の状態に応じて漢方を組み合わせていきます。


赤く腫れて痛みのあるニキビには「清上防風湯」


ニキビの炎症が強く、
・赤く腫れている
・触ると痛い
・熱っぽい
・膿を伴っている


このような時には清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)を組み合わせることがあります。


顔にこもった熱や炎症を鎮めることが得意な処方です。


主な生薬
黄連(おうれん)
赤みや炎症を鎮めます。
黄芩(おうごん)
熱を冷まします。
連翹(れんぎょう)
化膿しやすい皮膚を改善します。
薄荷(はっか)
熱を発散し、すっきりさせます。


化膿が少なく、ジクジクしたニキビには「十味敗毒湯」


赤みはそれほど強くないものの、小さな膿が散らばり、少しジクジクしたニキビには十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)が用いられることがあります。


主な生薬
柴胡(さいこ)
炎症を和らげます。
桔梗(ききょう)
膿を排出しやすくします。
茯苓(ぶくりょう)
水分のバランスを整えます。
独活(どっかつ)
腫れや炎症を改善します。


膿が皮膚の奥にあり、なかなか治らない時には「排膿散及湯」


赤みはそれほど強くないものの、膿が皮膚の奥にたまり、しこりのようになっている場合には排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)を用いることがあります。


主な生薬
桔梗(ききょう)
膿を外へ出しやすくします。
枳実(きじつ)
腫れを和らげます。
芍薬(しゃくやく)
皮膚の回復を助けます。


月経前に悪化するニキビでは
女性では、月経前になるとニキビが悪化することがあります。
このような場合には、柴胡清肝湯荊芥連翹湯などを選ぶこともあります。
イライラしやすい、のぼせやすいなど、その方の体質も考えながら処方を決めていきます。


季節によって処方が変わることもあります


皮膚の状態は一年中同じではありません。
夏は汗や湿気の影響で炎症が強くなりやすく、


消風散
清上防風湯
などが活躍します。


一方、秋から冬になると乾燥が目立ち、


当帰飲子
温清飲
など、皮膚を潤す漢方が合うことも少なくありません。


同じ患者さんでも、季節や症状によって処方が変わることは珍しくありません。


漢方は「その人」に合わせた治療です


漢方には、「この病気にはこの薬」という決まった考え方はありません。
同じニキビでも、
赤みが強い方、
膿が目立つ方、
乾燥しやすい方、
月経前に悪化する方では、
選ぶ処方が異なります。


そのため漢方では、まず基本となる処方を選び、さらにその時々の症状に応じて組み合わせることで、より良い治療を目指します。


もちろん、漢方だけですべてを治療するわけではありません。
必要に応じて塗り薬や抗菌薬などの西洋医学も取り入れながら、それぞれの良いところを生かして治療を行うことが大切だと考えています。


毎年夏になると湿疹やニキビが悪化する方、なかなか繰り返す皮膚トラブルでお悩みの方は、漢方という選択肢もぜひ知っていただければと思います。


小林内科医院では、西洋医学と漢方を組み合わせ、一人ひとりの体質や症状に合わせた治療をご提案しています。皮膚のお悩みも、お気軽にご相談ください。

ただし漢方だけでニキビが治るのは難しいかもしれません。じっくり治療を続けていく事が肝要かと考えます。

TOP